モテ期の頃の私は、髪が短かった。
腰まであった長い髪をばっさりとショートカットに切ってから急にモテはじめた。
一度も染めたことのなかった髪を、少しだけ茶色にした。

相変わらず、ファッションはそのとき流行っていたPUFFYみたいにGパンにTシャツ。
もしくは黒か白のストレッチの入った細身のパンツに細身のシャツ。または薄い素材のチュニックなどを合わせていた。

長い髪を切ったのには理由があった。
失恋したからではない。
手を切ったのだ。
今まで料理などお菓子しか作ったことのなかった私は、包丁の使い方を誤って
親指の付け根をばっさりと切ってしまい、5針?(3だったかな?)縫った。
縫ってくれた先生が福山に似ていてすごく格好良かった。格好良すぎて、病院に通うのがとても楽しかった。
でも本当にひどすぎて、毎日病院に通わなければいけなかった。
ひょっとしたら、動かなくなるかも…
そんなにひどく切ってしまったのだ…。

左手が全く使えない状態で私の一人暮らしは始まった。

シャンプーもろくに出来ないので、困り果てた私は、泣く泣く髪を切った。

サークルの先輩。それに同級生。
私が風邪をひいたなどといえば、数々の男達が家にご飯やお菓子。薬。飲み物。色々なモノを届けた。ご飯が食べたいと言えば連れて行ってもらえたし、買い物に行きたい♪
案内して欲しいな。といえば案内してくれる。
男には本当に困らなかった。

しかし、私自身。
彼らを特別な目で見ることは全くもってなかった…。
いつでもそうなのだが、
「自分の事を好き」
だなんて全く持って思っていないのだ。
だから、簡単に一緒に出かけたりしてしまう。
仲良くなったら、仲良くなりたかったら。
女友達と変わらない感覚で遊びに出かけてしまう。

今の彼だってそう。
まさか付き合うとは思ってなかった。本当に
「今度遊びに行きましょう〜」
「そうですね〜」
それで、たまたま連絡して。
たまたま友達達と一緒にご飯にいって。
その後たまたま行ってみたい店があって。
「行きたいです〜。ついでに映画でも♪」
なんてほんとお気軽に言っていた。
裏心は本当に0でした。恐るべし自分…。

そしてこれまたたまたま、急用があって初めて2人で会った。
なんかとっても幸せだったので、この人とずっと一緒にいたいなぁと単純に思った。
でもその時でもまさかこの人と付き合うなんて思ってなかった。本当に…(汗)

「好き〜〜〜」
とかそんなんじゃない感じ。
ほんわかとした感じで、うっとりな感覚。
好きとかそう言う言葉一つでまとめてしまうには勿体ない感覚だった。

あまりにも知らない感覚だったので私は友達に相談した
「なんかやばいかも…」
「…なにが?」
「…なんかいいの」
「いい?なにが?」
「わかんないけど、なんかいいの。これって好きなのかなぁ?」
「さぁね。そういうのはよく分からないよ」
「どうしよう?好きだったらどうしょう?やばくない??」
「なんでやばいの?」
「…だって好きになったらきっと嫌いになる」
「なんで?なんで嫌いになるわけ?」
「たとえばさ、もっともっと独占したいとか、 
 私だけのこと考えていて欲しいとかさ、 
 ちょっとした事にぐずぐず悩んだりさ。
 恋にしちゃったら色んな事いっぱいあって、 
 見なくていいところまで見ちゃったりさ。
 ちょっとした事が気に入らなくなったり。
 自分も嫌なところいっぱい見せちゃったり。
 いいことないと思うんだ。
 だから今のままでいたい。
 好きになるの怖い」

と仕事の休憩中に永遠と彼のことを話していた。家に帰ってきても友達に電話して
「どうしよう〜やばいよ〜なんだよこれ〜」
と「いい」「うっとり」「ステキ」
と訳の分からない世界に私は旅立っていた。
…初恋だったらどうしようね(滝汗)ぎゃあ

「他の子と彼が付き合ってもいいの?」
「いやじゃ。しぬぅ〜」(本気)
「…じゃぁ付き合えばいいじゃん?」
「でもさぁ。相手はそう思ってないと思うしさぁ。今のままがいい」

どうしよう。どうしよう。
好きだったらどうしよう。
好きになるのが怖いです。
今のままでいさせてください。

そんな風に思っていた。

モテ期後、散々な目に遭いすぎた私は
恋愛などこりごりであった。
この訳の分からない「素敵な世界」を壊したくなくて、とにかく、とにかく、今のままでいたいと思っていた。
だからまさか付き合うとは思ってもいなかった。

でも結局

「ああ、なんか幸せ〜いい〜〜」
と私はその日から約一年間。
飽きもせずに毎日幸せなのである。
なんか悲しい日だってあるけど。
でもうっとりな事の方が多いのです。
会うたびにもっともっといっぱい幸せになれるのである。

なぜかのろけ話になったのでした(汗)

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