自分の顔。
化粧する時くらいしかそんなにまじまじとみたりしないけれど。
今は大抵毎月写真もらったりしてる環境だし、
自分のサイトや色々とサイトで自分の顔が転がってるわけで
「ああ、私ってこういう顔なんだ」
たまにふうん。と思う。

楽しかった時はすごく幸せそうに笑ってる。
疲れてた時は目もとがお疲れ気味。

自分が普段どんな顔をしているか。
どんな表情をしているか。
そんな事は普通に生活していたら、多分分からない事だと思う。
写真にうつった自分はきっと普段の自分とは違う。自然な表情で写真に写る事は結構難しい。
自分で自分を見るには鏡を使わなきゃならないし。そんなにいつもいつも自分を見つめていてあげられるとは思わないから。
相当なナルシストでない限り。

私の顔は多分普通の人よりも目が大きい。
ちょっとつり上がってる目もとは第一印象をきつく見せてしまっているに違いない。
あとはそれと言って、特徴はないと思う。
どのパーツもそれなりにそれなりな形をしている(と思う)
流行りの顔などでは決してないと思う。
大正ロマン風だ。癒し系からはきっと程遠い。
特別可愛いわけではないけれど。
それなりに整ってはいる顔だとは思う。
人並み程度には…。

5年間つきあってた男がいた。
彼は私の顔が嫌いだと良く言っていた。
可愛いなどと言われた事はないと思う。
とにかく本当に嫌いだったのだろう。

「その大きい目が嫌い」

何度言われたか分からない。
これを無くしたらきっと私の顔なんて誰にも覚えてもらえない存在感のない顔になってしまうのに。

彼にとって私の顔と言うのは
「どこをどう取っても気に入らない」
そんな顔だったらしい。

私の顔を見てはため息ばかりついていた。
好みの顔と正反対らしかった。
もっと目が細くて、物足りないくらいの薄い顔の子が好きなんだそうだ。

そういう彼は、何度見ても覚えられないような顔をしていた。
すべてを一筆書きで書けてしまうような顔だった。薄すぎるのだ。しかもバランスも悪い。

ぼさぼさしている変な形のまゆげが私は嫌いで。
私の1/4位しかない気の弱そうな目もとがもっと嫌いで。
出っ歯で少し厚い輪郭がはっきりしない口元はもっともっと大嫌いで。(最強に嫌い)
ただ、鼻筋だけは通っていてそこだけはきれいだと思った。
アンバランスな顔立ちすべてが私にとっては醜かった。

街を一緒に歩くのが嫌いだった。
いつでもおしゃれをして歩く私と、ダサい格好しか出来ない彼とはいつだってチグハグだった。何を着せても似合わなかった…。
彼に高いブランドの服を着せても着こなせない
安物を着せればますます、かっこわるい。
もう私の手にはおえなかった…。

親にも友達にも驚かれた。
「美形好きな貴方が、まさかこんな相手を選ぶなんて」
本当にそんな風に言われていた。
つき合った男の中でダントツのブ男である。
正直、付き合った男は皆美形なので、くらべる対象にすらならないかも知れない。

しかし彼は自分の顔が大好きであった。
私よりも鏡を見ている時間が絶対に長かった。
「俺ってかっこいい」
などと平気で言うのである…。
書いていて本当にどうしようもない男だと
呆れてきた。

私はそんな男と付き合っていたのだ。
5年間も。
でも一度も言った事なんてない

「その顔が嫌い」

私は一度たりとも口にはしていない

「おまえの顔が嫌い」

私は何度言われたか憶えていないけど。

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