着飾る女

小さい頃から可愛い服を着ていた。
母が洋服が好きなので、たまに作ってくれたりもしたし、ちょっと凝った服などを着せてくれていた。
高校生の頃。私は私服など着ている暇がなかったのでしばらく服と言うものに興味がなかったのだが、高校三年の夏くらいからはずっと洋服三昧である。

「女の子なのだからいいものを着なさい」
とうちは父まで言う。
少しでも古くなった服だと
「もう、古くなったから新しい服を買いなさい」
今でもそう買ってくれたりもするのである。
大学生の頃とんでもない服に凝った。
普通のデザインではないような服ばかりをこよなく愛していた。
それは私の顔に全く似合わないと思われる
ロリータ系の洋服。
それからこれならまだ…許せるヒスの洋服。

今ならそれなりにかっこ良く着こなせるかも知れない。でもあまり着ようとは思わない。

その当時今よりも体重が10キロ近く多かった私にはヒスの小さな服など似合うはずもなかった。でもそんな服が好きだった。

でも自分がぽっちゃりしてしまっったなどと気がつく事もなかった。

毎日チェック柄とフリルのついた服を着ていた
セーラー襟のカットソーやTシャツが好きだった。
体のラインをちっとも綺麗に見せないような洋服ばかり着ていた。
それからアジアンテイストの服にもかなり凝った。

…ますます私はぶさいくになっていった。

髪の毛を色々な色に染め、奇抜な格好をした私は街を歩いていると浮く。
それだけが唯一なんだか
「ああ、一応ここにいるのね私」
自分の存在を確認出来る時だった。
あとは生きてるのか死んでるのか分らなかった。どうだって良かった。
それから月に一度届くクレジットカードの明細。
「ああ今月もまたお金ないわ」
その時だけは現実に戻って来た。
自分と現実世界を繋ぐものはたったそれだけで。

毎月届く明細と、出費がかさむだけの買い物だけが私の喜びだった

今は少しでもスタイルが良く見えるもの
それから、やっぱり花柄は好き。
素材は薄手のものがいい。
でも相変わらずファッションセンスは変…。
流行のものよりは、長く着れるシンプルかつ少しだけデザインが凝っていたり、素材が良かったりするものが好き。
レトロなお嬢様風が大好きである。

今は明細など嬉しくない。
買い物だって昔にくらべれば全然しなくなった

自分の好きな洋服を着て好きな人に会う。
少しでも綺麗に。
少しでも可愛く見えますように。

もっと大切な事はもちろんいっぱいあるけどね
女の子はいつだって可愛く見られたいの！

…せめて洋服だけでも